第一三共の抗インフルエンザ薬の抗体について

人間の気道や鼻腔内は、粘膜免疫防御バリア-として機能する粘膜IgA抗体によりウイルス感染から守られていますが、インフルエンザウイルスは空気感染により鼻腔や気道粘膜上皮に付着し増殖感染するケースが多く、感染者の初感染部位の粘膜IgA抗体価が著しく低下しています。
抗インフルエンザ薬の中でも第一三共のイナビルやグラクソ・スミスクラインのリレンザは、吸引により直接気道粘膜に作用しウイルス増殖を抑制する効果を発揮するとされ、ロシュのタミフルやバイオクリストのラピアクタよりも即効性があるとされています。
インフルエンザウイルスは、抗原連続変異を繰り返す赤血球凝集素が宿主細胞の表面にあるシアル酸糖鎖と結合する事で、感染細胞核の遺伝子情報の上書きを行い増殖し、ノイラミニダーゼの効果により糖鎖末端のシアル酸を切り離し、感染を拡大していきます。
インフルエンザウイルスは、発症後に体内で抗体が形成されるまでの約48時間で増殖のピークをむかえ、以後は抗体の免疫力により徐々に体内のウイルスが減少し、症状が改善するとされています。
その為、インフルエンザウイルスに直接作用しない第一三共のイナビルは、発症後48時間以内に吸引する必要があり、48時間以降の服用による薬理効果は少ないとされています。
第一三共のイナビルは、ノイラミニダーゼの効果を阻害する事により体内のウイルスの総量の増加を抑制し、インフルエンザの発症遅延や症状の悪化を抑制する効果があります。
しかし、ウイルス増殖抑制によりウイルスに対する抗体の産生量が減少し、後天的に獲得される特異免疫系の発動も抑制され、翌年のインフルエンザの再感染率を高めるとされています。
その為、抗体の産生量の減少や翌年の再感染率を抑制する為に、マクロライド系のクラリスロマイシンの併用服用が有効とされています。